おくどさん研究会概要

発足の呼びかけ案

古来から竃の登りゆく様子をみて、
庶民の暮らしぶりや食生活の様子を確認したと申しますが、現在では調理不要のインスタント食品も多く、食べることと火が、かけ離れた存在となっています、
 お米や小豆が美味しく炊けるおくどさん(かまど)の文化的価値、歴史的価値の発信とお米文化の発信も兼ねて、研究会を発足させたいと考えました。

京都から日本へ、日本から世界へと、おくどさんの文化を発信することによって、忘れかけている自然の恵みに感謝し、火にまつわる歴史も研究したいと考えます。

このおくどさん文化を通して京都の食文化、京文化を考えることは、次世代に“おくどさん”(伝統)の素晴らしさを伝えていくことが可能です。こうした循環するエコな文化の発信は環境教育等にも生かしていけると考える次第です。

おくどさん研究会発足式メッセージ

奈良やそれ以前の大和政権の都が転々流転したのに対し、一千年の京都の歴史
は、あまりにも長く、その持続的再生産を可能にした源泉についての興味は尽きません。
そのことを考える場合、いつも浮かぶのは、鴨川、桂川、宇治川、木津川など、京都に四方から流れ込む豊かな水であり、そこに都が置かれる以前から鎮座していた、稲荷、賀茂といった神社群です。

 古事記によると竈の神は、大年神の子の奥津日子神と奥津比売の二神とされていますが、この大年の兄弟神がお米の神様である稲荷の宇迦御魂です。
また、鴨川に袂に立つ上賀茂神社の祭神は、賀茂別雷神ですが、この神は大和の葛木の賀茂建角身命の娘である玉依媛(たまよりひめ)命と山代の乙訓(おとくに)社の雷神との間に生まれた雷の神とされていいますが、この雷は、豊かな水に支えられた稲の生産に密接に関連していることは明らかです。

豊かな水に支えられた京都の神々は、実はお米に密接に関係する神々でもあります。
我々は現在、その賀茂神社の大事なお祭りに使われる竈を直接みることができます。 
とある日、秋の透明な光のなか、鴨川縁を歩いていた私は、丁度立ち寄った賀茂神社において見た、竈の存在感の大きさに感銘を受けたことを忘れません。

 京都では、この他、悠久の歴史を伴にした石清水八幡宮などでも、こうした竈が大事に保管され、展示されています。
 ちなみに、竈の二人の神様の母親は、その名を天知迦流美豆比売、すなわち「あめしるかるみずひめ」といい、このことからしても竈がいかに水との縁が深いかを物語っています。


                農林水産省統計部長(元近畿農政局長)  齋藤 昭