おくどさんとは?

おくどさんとは京言葉で竈のことである。

20130908.jpg竈は別名「くど」とも呼ばれるが、その「くど」にその頭に「お」をつけ、さらに最後に「さん」までつける。おいなりさん、おかいこさん、おかみさん、おかゆさん、おつかれさんなどがあるが日本語の中でそのような言葉は決して多くない。そこには敬いと同時に親しみなどのの気持ちが込められている。

さて、おくどさんで使う火は、私たちと切っても切れない関係がある。人は火を使うことで技術を発展させ、文明そして文化せしめ人を人たらしめた。火は人を暖め、潤し、守り、癒し、そして送ってきた。今日では科学技術の発展に伴い人々の食や暮らしも大きく変化し、私たちが火に接することは多くない。

かつて、おくどさんは、京の人々が暮らす京町家の台所の中心に位置し、そこに暮らす家族の暮らしを支え、そして見守ってきた。私たちの命を繋ぐ食べ物をよりおいしくし、豊かな生活をに提供してくれる道具であった。常に清潔に保ち、熱のあるうちに専用の雑巾で拭く、それによって漆黒の底光りしたおくどさんは、どっしりと威厳があり、感謝と敬意の対象であったが、今日その姿をほとんど目にすることはできない。

しかし、おくどさんは、過去の遺物になったわけではない。心ある人の手で稼業の中で使い続けることで守り続けてきた、あるいは、今日の洗練された形で使われおくどさんの火は守られてきた。その効能は現代の技術をしても代替できるものではない。それは人間の感性や文化に適合した道具であるかもしれない。

私たちおくどさん研究会では、そうしたおくどさんの持つ意味を学際的に考えることが、京の文化を後世に伝えていくために必要と考え、過去、現在に関する情報を記録し、またその情報を積極的に発信していきたいと思っている。
おくどさんから上がる煙を狼煙となりこの想いが多くの人に届くことを期待し、ここに宣言する。